今回は、ずっと自分の中ですっきりとしなかった分業、仕事の細分化についてはっきりと結論が出たのでこのテーマを取り上げたい。
これまでのコンサルティングの中で、企業を成長させるために仕事を細分化、標準化し早くスキルを取得、誰でも出来るようにしていくことは重要で取り組んできた。そうしていくことで大きく業績が伸びるのも体験してきた。
例えば、人材ビジネスの業務でも営業とコーディネーター(人材紹介はキャリアアドバイザー)との業務の分離、営業アシスタント、人材側業務のアシスタント、スカウトメール担当、営業のテレマ担当etc…等、かなり細分化し分業ているケースも多い。
業務を細分化し(標準化)分業することで、早くスキルを身に付ける事が出来、人材の替えも効きやすくなるので、経営者としては退職による戦力ダウンのリスクヘッジにも繋がる。今、中小企業の成長が阻害される最大の要因は社員の退職だと思っている。ただ業務を分業化していくことで、仕事の楽しさを奪ったり、能力の高い社員や個性的な社員の退職に繋がったりという弊害も見てきた。
大企業で様々な仕事を経験しているが、それぞれパーツでの経験のため中小企業に転職してまったく力が発揮できないケースもある。
今週の日経ビジネス「有訓無訓」の日本IBM名誉相談役 橋本孝之氏の話で、自分の中で考え方の軸が明確になった。
第二次世界大戦でユダヤ人大虐殺が起きた理由。実際に手を下したのは普通の国民。ある研究で「仕事の過度な細分化」に原因があったと結論付けている。
1人1人の仕事を細かく分けていくと、自分が担当する範囲にしか関心を持たなくなる。名簿を作る人、ガスを用意する人、それぞれが与えられた職務を遂行した結果システムとして大きな悲劇を引き起こした。
業務、役割を分担し部署やチームで成果を出すと言うと聞こえは良いが、個々の責任感の希薄、モチベーションの低下に繋がらないようにする必要がある。
仕事の過度な細分化は、会社にも働く社員1人1人にとっても絶対にマイナスになる。
また、細分化していくときに会社の理念、業務全体の目的を常に意識させることが絶対に必要。
商社の責任者をしていた時のアシスタントで、事務や雑務をサポートしてもらっていたが、常にお客様にとってどうかという視点、私が動きやすく成果を出せるように考えていた社員がいて、すごく助けられていた。
細分化、分業の誤りにより、自社で大きな間違いが起きないようにしてほしい。